協会誌Vol.30/ No.4 (通巻100号)
特集「未来の『パラリンピック』-Rio to Tokyo / 2016 〜 2020-」

Festina Lente! ゆっくり急げ ー急性期にしかできない支援ー

表紙データ(PDFファイル)

特集 「未来の『パラリンピック』−Rio to Tokyo / 2016 〜 2020 −」をご紹介します。

「未来の『パラリンピック』−Rio to Tokyo / 2016 〜 2020 −」 岩下 航大
「「訓練人生」から「義足での人生」をスタートさせる。義足のリハビリテーションにおいてまず「歩く」という動作獲得は重要な課題であり、歩けることを実感した瞬間から表情は変わりその人の中での変革が始まる。そして「歩く」先に「走る」という動作がある。」

「障害者スポーツを取り巻く環境変化と2020 年東京大会への期待」 大日方 邦子
「文部科学省のまとめによると、成人一般の週1回以上のスポーツ実施率が47.5%だったのに対して、障害のある人は18.2%にとどまっており、いわゆる健常者と障害者とで大きく差がある実態が浮き彫りになった。・・・。障害のある人がスポーツを楽しむ場合、各競技種目の特性に合わせた義足や車いすなどの用具が必要になることが多いという点も見逃してはならない。その用具の大半は大量生産には向かないばかりか、繊細なパーソナライズが不可欠なものも少なくなく、結果として高価になりがちである。その購入費用や入手しにくさがスポーツを始める際のハードルになりやすいことは、自分自身の体験からも言える。」

「わが国の障がい者スポーツの歴史と将来像」 井田 朋宏
「1964 年の東京オリンピックの後に東京パラリンピックが開催された。・・・。当時皇太子殿下であり大会名誉総裁であった今上天皇陛下は、大会終了後、関係者を東宮御所に招いた際、次のようなお言葉を述べられた。
「今回のパラリンピックを見て、外国の選手は非常に明るく、体力も勝っているように感じました。日本選手が病院や施設にいる人が多かったのに反して、外国の選手は大部分が社会人であることを知り、外国のリハビリテーションが行きとどいていると思いました。日本では身体障がい者の正確な数は把握されていないと聞いていますが、このような企てが行なわれたことは、身体障がい者の方々に大きな光明を与えたことと思います。このような大会を国内でも毎年行なって皆さまもこれから身体障がい者の福祉向上のためさらにいっそう努力されることを希望します。皆さまの御苦労のお蔭で成功のうちに終ったことを感謝いたします。」」

「障害者カヌー「パラマウントチャレンジカヌー」」 吉田 義朗
「カヌーに乗った仲間たちは水の上をまるでミズスマシのように動き回ることができることに大きな開放感を感じることができました。・・・。 ここで押さえておかないといけないのは、支援者(健常者)の役割です。障がいのあるものは、その多くがカヌーを運ぶことができません。また、陸上から水の上にでることも、上がることもできません。そして、水際まで行くまでの移動にも困難を伴います。」

「パラトライアスロン ー素人から目指すパラリンピアンまでの道のりー」 鏡味 信幸
「2013 年5 月12 日 世界トライアスロンシリーズ横浜大会パラトライアスロンの部の大会当日がついにやってきた。ずっとプールで練習してきたため海で泳いだことは無く、スイムのスタートで初めて海に入った瞬間、水温17℃の冷たい黒い海の中で後悔したが、ウエットスーツを着用しているので沈む心配はないと言い聞かせ、気を取り直して泳ぎ始めた。しかし、海は波がありフワフワして船酔いのようになり気分が悪くなった。・・・」

「パラリンピック開催種目の工学的な視点 ーここがすごいスポーツ用義肢装具の変化ー」 岩下 航大
「馴染みのない走行用の板バネが一般的な義足部品に比較して「能力がなければ走り難いもの」という印象があるかもしれない。しかし実際は板バネを使用することで、意欲が向上し、走行導入が非常に簡便になる。走行導入に適した製品がレンタル可能になったことは障がい者スポーツの選手の発掘、育成に確実に繋がってきている。」

「Cybathlon と超人スポーツ」 石原 茂和
「Cybathlon とは、ロボット工学技術を含む、高度なアシスティブデバイスを使う障がい者(“パイロット”と呼ぶ)の競技大会である。ここで想定されている、高度なアシスティブデバイスとは、動力膝義足、装着タイプの腕義手、動力付き外骨格、電動車いす、ブレイン・コンピューターインタフェース(BCI)、電気刺激による筋肉運動(ESM, electrically stimulated muscles)が想定されている。・・・。Cybathlon の目的は、日常生活に有用な、新たなアシスティブテクノロジーの開発を促進する機会を与えることであり、Cybathlon を組織することで、障がいのある人へのバリアーを科学を使って解決することを目指している。」

特集

特集 未来の『パラリンピック』ーRio to Tokyo/2016〜2020ー(P91)
  • 岩下 航大
  • J-STAGE
特集 障害者スポーツを取り巻く環境変化と2020年東京大会への期待(P92)
  • 大日方 邦子
  • J-STAGE
特集 わが国の障がい者スポーツの歴史と将来像(P96)
  • 井田 朋宏
  • J-STAGE
特集 障害者カヌー「パラマウントチャレンジカヌー」(P100)
  • 吉田 義朗
  • J-STAGE
特集 パラトライアスロン ー素人から目指すパラリンピアンまでの道のりー(P103)
  • 鏡味 信幸
  • J-STAGE
特集 パラリンピック開催種目の工学的な視点 ーここがすごいスポーツ用義肢装具の変化ー(P106)
  • 岩下 航大
  • J-STAGE
特集 Cybathlonと超人スポーツ(P111)
  • 石原 茂和
  • J-STAGE

研究報告

特集 重度肢体不自由者用ロボットアームが介助に及ぼす影響 経済的効果を中心として(P55)
  • 丸岡 稔典,・我澤 賢之,・井上 剛伸
  • J-STAGE
報告 第52回日本リハビリテーション医学会学術集会に参加して(P127)
  • 里宇 文生
  • 報告
報告 第50回日本理学療法学術大会 ー理学療法50 年のあゆみと展望ー(P128)
  • 山本 一樹
  • 報告
報告 一般社団法人日本リハビリテーション工学協会 第3回東日本大震災復興支援リハビリテーション工学講習会in宮城(P129)
  • 伊佐 拓哲
  • 報告
報告 第42回全国頸髓損傷者連絡会・全国総会「東京大会」(P131)
  • 土田 浩敬
  • 報告
報告 第14回高知福祉機器展バリアフリーフェスティバルに参加して(P132)
  • 山中 敏彦
  • 報告
報告 ヨッテクに参加して(P133)
  • 下河辺 治美
  • 報告
J-stageリハビリテーション・エンジニアリング誌