協会誌最新号Vol.33/ No.1 (通巻109号)

いのちをそだてる ―障害のある親の子育て―

「いのちをそだてる ―障害のある親の子育て―」、協会誌33_1号
日本海側の大雪の影響が懸念されますが、連休前後にお手元に届くことを期待し、ご案内致します。

「無邪気に車椅子の私をみつめるベビー、思わず目線が近いので笑顔になってしまいます。…。私自身24 年前、突然重度障害者になった看護師です。3 人の子どもがそれぞれ1 歳、4 歳、7 歳の時に…。雪の日の授業参観で、子ども達がみんなで椅子を拭いてくれたシーンは忘れられない思い出であり、子ども達の笑顔が支えてくれたといっても過言ではありません。」(巻頭言)

「子供が幼稚園に通いだすと、その幼稚園の子供達に対しても、脳性まひ者である私が3 人のこどもの親であり、健常者とは異なる人間モデルがあることを伝えねばならない…「ゴレンジャーがやっつける怪獣もみんなおばちゃんみたいやなあ。きっと怪獣もいろいろ感じたり、思ってるんとちゃうかな。」…。私の母、子供らにとっての祖母は交通事故による頭蓋骨陥没と脳挫傷で…障害者として自立し積極的な生活態度を身につけるため自由なmobility の手段として屋外での電動車いすの操作を教え、子供たちはたとえ僅かでも進捗がれば上手に褒めてくれた。…。高齢になって重度障害者になってからの方が活発になって、孫たちと毎週のようにお出かけして暮らしている。…。娘の妙は…次のように述べている。「…祖母の無理心中が成功していたのなら、私を含めた3 人の子供が母から生まれてくることもなかったでしょう。私がこうして文章を書くこともないのです。」」 (いのちをまもりそだてる ―障害者の地域育て・子育て―)

「19 歳で頸髄損傷となり現在40 歳の父ちゃんが、家族で過ごす日常を紹介します。…。人口9 万ほどの周囲は畑だらけ、ヘルパーさんと外出するためには、30 分歩いた無人駅へ1 週間前にスロープの手配を行い、1 時間に1本程度停まる列車か、500m 先のバス停に前日に車両予約…。しかし、私はここで生まれ、小中高と生活してきました。親、兄弟、親戚、友達、先輩、後輩と生活すべてはこの地にあったのです。その流れを当初から一緒にすすめてくれたのが妻で、2009 年結婚いたしました。…。子供にとって福祉機器とはどんなものなのだろうか。間違いなく我が家では遊具の一つ、アトラクションになっています。」 (頸損父ちゃんの備忘録)

「妻とはチェアスキーを通じて知り合いました。…。小学校ではPTA の役員をやりました。小さい頃から障害者をあたりまえに見て、あたりまえに接していくことが、その子にとっての心のバリアフリーへとつながっていくと感じています。…。東日本大震災では、私の住む地域は津波により被災し、ようやく高台移転が終わりました。子育て世代を中心に転出が多く、小学校は廃校となり、スクールバスで7 キロ先の統合校に通学しています。・・・。引き続き、楽しみながら子育てをし、そして自分自身も成長していけたらな、と思っています。」 (こどもを育てる ―私の子育て・スポーツとPTA を通じて―)

「早く結婚して出産しないと産めなくなるよ。」…。「私、早くしないと出産は無理だって先生に言われたの。だから・・・」と話を続けようとしたときに、彼が「じゃあ今だね。」と答えました。…。息子は成長するにつれ自分で移動するようになり、何か起きても私はすぐに駆け寄れないのです。…。今のところは、「ママが車いすで嫌な思いしたことがある?」との質問には、「一回もないよ。」との回答でしたが、これから迎える思春期はどうなるかわかりません。心配しても仕方ないので、私は私なりに親としての責任を果たしていきたいです。」 (進行性筋疾患/遠位型ミオパチー患者が子供を産み育てること)

「…母が障害をもっていることについて、意識したことはありません。…。しかし、本人は結構苦労していたと思います。肩こりが頻繁で、肩たたきは小さい頃のお手伝いでした。実際私自身の子育ても、とっ散らかっています。…。自立(自分で考えて、自分で決められる)させることが、親の役割であると考えています。…。できることを認め伸ばし、できないことに対しては、一緒に考えていく姿勢があればよいのではないかと思います。であるならば、親に障害があることは子どもにとって何の問題も生じないのではないでしょうか。」 (こどもから見た障害をもつ親との暮らし)

「発症前、会計系の専門学校に勤務していた私は、片麻痺になり、無職になり、途方に暮れた。すぐに、一念発起し、法人を設立し、介護事業分野におけるデイサービスを開設した。…。その頃からずっと、今も私が持っている教育に対する考えは、「親がハンデキャップを乗り越え、一生懸命に働き、生きていれば、それは大きな教育となる」である。…。教育大国であるイギリスでは、18 歳で高校を卒業すると「ギャップイヤー」という何も束縛されない1年があり、ボランティアするもよし、特別なアルバイトをするもよし、バックパッカーとして一人旅をして世界を知るために使ってもよいらしい。目的は、将来のその人間の「Independence」「独立、自立」に寄与するためらしい。…。2016 年、長女が第一志望の大学に合格した春。親子でのオーストラリア大陸横断を考え、そして、実行した。」
(一夜漬けの信念からの子育て ―「Independence」と「作業連続性」と「幸福」―)

「我が国における若い世代の自殺は深刻な状況」にあり、「15〜34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国では日本のみ」です(厚生労働省 2017年版自殺対策白書)。いのちの尊さを悲しみの闇に突き落とす事件を引き起こす社会のありよう全てをそのまま将来につないではなりません。「―障害のある親の子育て―」という本特集をつうじて、「いのちをそだてる」ことのかけがえのなさを、読者のみなさま、そして社会と共有していきたい、それが協会誌編集委員会の思いです。

<連載> 車椅子の歴史 第六回 電動車椅子の歴史(前編)
<報告> 第32回リハ工学カンファレンスin神戸(中学3年の発表者より)、義肢装具・車いす・移乗機器SIG講習会、第2 回障がい者スポーツ応援フェア
<お知らせ> 第33回リハ工学カンファレンスinあつぎ、プレカンファレンス「重度身体障害者の過去・現在・未来」、第1回災害対策リハ工学セミナーなど (先の更新情報をご参照ください。)
★ 次期編集委員募集!! (定数4名、応募締切2月末日、任期:平成30 年4 月〜平成32 年3月 年4回編集委員会開催)
<合本> 福祉機器コンテスト2017結果報告書

次回の特集は、「 AI とロボットー学習する支援機器(仮題) 」です。 お楽しみに!
(協会誌担当:石濱)