Vol.32/ No.4 (通巻108号)

おいしいごはんでおおきくな〜れ♪

32−4号 連休明けには、お手元に届く予定ですが、メニューをご案内申し上げます。
 特集は、「おいしいごはんでおおきくな〜れ♪」。
「読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋。何を楽しむにも持って来いのこの季節ですが、やはり外せないのは“食欲の秋”、ではないでしょうか。」(編集後記)
「私はリハビリテーション医として重症心身障がい児の栄養補給や食事に関する想いや工夫を、こどもたちとご両親からたくさんの教えをいただいてきました。また自分自身の発達障害の長男の子育ての中で、彼の口腔内過敏や偏食に苦労し、試行錯誤を続けた母親です。そういった経験が今回の特集のテーマを考える大きなヒントになりました。食べることは生きることの源。」(巻頭言)
「嚥下とは、食べ物や飲み物を飲み込むことである。 嚥下には哺乳様の嚥下、すなわち乳児嚥下と離乳期以降の飲み込み方、成人嚥下がある。口を閉じ、顎を固定し動きを止めた状態での飲み込み方を成人嚥下という。・・・ 摂食嚥下障害とは、安全に必要量を食べられないことである。」(小児の摂食嚥下機能の発達とその障害)
「骨盤が前にズレてしまうと、過緊張の子どもは体幹がそり返り、頭部は後屈する・・・この姿勢は、頸部の前面筋が過度に伸張され、下顎の動きを阻害し、口唇が閉じにくくなる。また、喉頭の動きも阻害するため、気道の入り口をしっかり塞ぐことができない。頭部と体幹の角度が大きくなるほど、喉頭への食物流入の危険性は高くなる。反対に身体が全体的に柔らかい子どもは、骨盤が後傾し、体幹は丸くなりやすい・・・この状態では、頸部の前面筋が緩んでしまい、嚥下時に力が入りにくくなるため、食事のペースは上がらない。」(食べる力を育てよう ―摂食・嚥下支援の実際―)
「難しいものを食べることを練習したり、やはり今の自分にはたいへんだな、と自覚することは、自己管理能力の向上になり、退院してから多くの一般食の中で自分の食べられる物を見つけていく力をつけることにもなり、外食などの挑戦もしやすくなる。」(食形態の分類 嚥下調整食学会分類を中心に)
「・・・胃瘻ミキサー食の最も本質的な点も、家族と同じ食事ができることにある。・・・胃瘻ミキサー食は、食卓の団らんの中で、食事の匂いを感じながら注入されるのが望ましい。」(胃瘻ミキサー食の経験)
「全てをミキサーにかけ茶色くなったペーストや、刻んでしまった食事は何の食事だかわからない。見た目の悪いそのような食事は本人の意欲をそぐばかりでなく、介助者のやる気も奪ってしまい、せっかくの楽しい食事の時間が機械的なものになってしまっていた。・・・写真2 まとまり刻み食 骨の周りにまとまり刻み食を盛り付け、自分で持ってかぶりつけるようにした。」(重症心身障害児のための食事「まとまり食」の経験 目の前のひとに合わせた食事環境の創造)
「食事はテーブルを囲み、みんなで食べる。介助が必要だったこどもも、一緒に食べるうちに他のこどもを模倣して自らスプーンを持ちたがり、積極的に食べる姿を見て意欲的に食べるようになることがある。」(通園での食支援のくふう ―心と身体を育てるおやつ―)
「息子の食事療法は食欲に関係なく1日の量がきっちり決まっています。・・・。小中学校の個別支援学級では、生活力を養う学習が積み重ねられました。・・・。食事療法は、幼少期から自分で食材を選ぶ練習を繰り返し、中学1年からは毎日、自分で弁当を作ることで、感覚的に適切なバランスや量を身につけてゆきました。」(現場の工夫 ?食事療法を伴う先天性代謝異常症の一例?)
「自閉症の子どもの偏食は発達とともに変化する。食べられるものがなく、隠れたり、立ち歩いていた子ども達も、みんなと同じ給食が食べられると、親子ともに笑顔が増え、自信がつき、みんなと楽しめる。」(発達障害児の偏食改善)
「シェフは、レシピの内容、作り方をカードにして配布し説明、質問も受けて頂く。素材からつくられる配慮食は、素材の風味が味わえ、みなとの景色と共に美味しい。・・・〇参加者の感想 娘は大きな口を開けて次のスプーンが来るのを待っていました。」(2017 美味しく配慮食(ペースト等)のあるイタリアン料理・会食はいかが!)

こころゆくまで、創意工夫を凝らした素敵なレシピをご堪能下さい。

協会からのお知らせでは、役員候補者選挙、第32回リハ工学カンファレンスin 神戸開催報告、福祉機器コンテスト2017 の結果のほか、2018年開催予定の以下の事業につき、ご案内しております。
第7回(一社)日本リハビリテーション工学協会・全国頸髄損傷者連絡会 合同シンポジウム (2018年3月3日(土) 厚木市文化会館)
第1回災害対策リハ工学セミナー『熊本地震復興支援合同シンポジウム -障がい児・者、高齢者の安全で安心な住まいつくり-』(4月7日(土) 熊本県総合福祉センター)
第33回リハ工学カンファレンスin あつぎ(2018年8月29日(水)〜31日(金) 厚木市文化会館) 
是非、予定表にお控えおきくださいますよう。
(協会誌担当 石濱)

J-stageリハビリテーション・エンジニアリング誌