協会誌最新号Vol.36/ No.4 (通巻124号)
特集「気持ちよい排泄を目指して 〜用具がつなぐコンチネンスケア〜」

技を伝える〜障害者の生活を支えるための暗黙知とその伝承〜

表紙データ(PDFファイル)

「特集に込めた願い「気持ちよい排泄を目指して 〜用具がつなぐコンチネンスケア〜」」 小島 みさお
「排泄障害へのアプローチは、多職種の連携がさらに求められる時代になっています。・・・排泄障害を支援する現場で活躍されている専門職から、機器開発に取り組む研究者まで、さまざまな立場での取り組みや課題について紹介していただく本特集を企画しました。・・・リハ工学の分野においても、従来の自立支援に加え、介護支援も視野に入れ、皆様と一緒に考えていきたいと企画致しました。多くの読者の方が、本号を読んで、排泄の悩みやケアの負担が軽減し、すべての人が気持ちよい排泄ができる社会が実現することを願ってやみません。」

「コンチネンスケアの基本と排泄用具の過去・現在と課題」 西村 かおる
「排泄が正常にできている状態を英語表記でコンチネンス(Continence)といい、・・・排泄動作は起居・移動・移乗、更衣、保清でなりたっているだけではなく、排泄物の元となる食事、補水もうまくできないとトラブルにつながるため、排泄にしっかり関わることで日常生活は全体的に向上できる。・・・今後は、後期高齢者の増加、少子化、前立腺がん・大腸がんの増加等から排泄障害が更に大きな問題となることが予測される。自立と介護負担軽減は同じことであり、その中でも本人と介護者双方にとって負担が大きい排泄障害が問題にならないためには、自立を課題とした排泄用具の普及が早急の課題と感じている。」

「排泄関連の福祉機器開発の実際」 玉垣 努
「特に高齢者や障害者の排泄の問題を中心に、病院の中ではなく『生活の中でどうすれば良いか』と約30年間試行錯誤して開発してきた排泄周囲機器開発とこれにまつわる問題点などをまとめて紹介する。・・・現在、排泄関連のJISの作成に関わっているが、今後はAIやロボットの活用が注目されている。現状では海外製も含めて実用性の高いものは少ない。排泄関連の福祉機器はプライベート製が高いからこそ、本当は必要なものと考えている。開発のための補助金の拡充なども含めて、期待したい分野である。」

「大人用紙おむつの深化−大人用紙おむつの開発の実際−」 小山 貴夫
「現在の紙おむつは、排泄物を溜めるための単なる『排泄ケア用具』では無く、人生の最後までその人らしく前向きに過ごすための『機能性下着』の領域へと進化している。そのことを多くの方々に理解してもらえるよう業界全体として取り組んでいく必要がある。今後の大人用紙おむつの開発では、製品性能といった機能価値の向上だけでなく、製品やパッケージのデザイン性やネーミングといった情緒価値の向上、更には使用に対する抵抗感を払拭するための情報発信や啓蒙活動が益々重要になってくる。我々は今後も商品開発を通して、排泄トラブルに悩む人々と、一緒に歩み応援するご家族の生活をサポートしていきたいと考えている。」

「最期まで『生活者』として、当たり前の排泄をかなえるために−在宅ケアマネジメントの立場から−」 佐藤 文恵
「現場の支援のいくつか事例をふりかえり学ぶなかで、地域の人々には【排泄する行為】と【排泄物そのもの】を明確に分けて捉える視点をひろく理解してほしいと願う。・・・家族や支援者が排泄のケアで抱える心身の負担を軽減できるよう十分に配慮し、無理なく簡便なケア方法や創意工夫を、丁寧に伝えながら寄り添ってあげて欲しい。ハード面・ソフト面いずれも充実し排泄が大切にされる社会となれば、誰もがひとの尊厳を互いに大切にして生きることができる。・・・人々の意識改革が、まずはトイレタイムからすすむことを期待する。」

「排泄ケアの課題とアプローチ−WOCNの立場から−」 近石 昌子
「排泄の問題は、臨床の場面でも食事(摂食嚥下)と同時に大切なものである。しかし、日常では患者さんが「どれくらい食事をしたか」というのは関心があっても、「どれくらい排泄したか」はおざなりにされていることがある。・・・皮膚・排泄ケア認定看護師(以下WOCN)が携わる看護外来としてストーマ外来、排泄ケアに特化した「骨盤機能外来」を開設している。また認定看護師は社会貢献も必要とされ、「かがわ排尿と排泄ケアを考える会」に参加し、地域の排泄ケア向上に携わっている。これらの活動を通して、排泄ケアの課題について考えを述べたい。」

「排泄ケアへのアプローチと課題−セラピストの立場から−」 知脇 希
「近年、日本でも変化がみられてはいる。例えば排尿ケアチームに理学療法士または作業療法士を含めることが算定の要件となり、カテーテル抜去後との限定はあるが畜尿機能への対応にも診療報酬が算定できるようになった。・・・自治体が開催する介護予防事業をセラピストが担当することが増えている。その中に尿失禁対策の講座もあり、排泄ケアへのかかわりは多様化しているといえるだろう。・・・排泄ケアの機能面に対するセラピストの介入は、徐々に広がりを見せている。この展開が広がり問題を抱えている方に届くよう、教育、制度、機会を前進させていきたい。」

「排泄ケアの課題とアプローチ−地域実践者の立場から−」 榊原 千秋
「うんこ文化センターおまかせうんチッチでは、全国で排便ケア&便育を基軸にコミュニティケアができる人材「POOマスター」の養成し、全国各地で地域包括的コンチネンスケアシステムの構築を目指しています。・・・令和3年7月に日本うんこ文化学会を立ち上げました。世界中のすべての人が気持ちよく出すことができる文化を行政・企業・報道関係者等と協働し学際的に分野を超えて研究・教育・交流をはかっていきます。」

特集

特集に込めた願い「気持ちよい排泄を目指して −用具がつなぐコンチネンスケア−」(P185)
  • 小島 みさお
  • J-STAGE
特集 コンチネンスケアの基本と排泄用具の過去・現在と課題(P186)
  • 西村 かおる
  • J-STAGE
特集 排泄関連の福祉機器開発の実際(P192)
  • 玉垣 努
  • J-STAGE
特集 大人用紙おむつの深化 −大人用紙おむつの開発の実際−(P196)
  • 小山 貴夫
  • J-STAGE
特集 最期まで『生活者』として、当たり前の排泄をかなえるために −在宅ケアマネジメントの立場から−(P200)
  • 佐藤 文恵
  • J-STAGE
特集 排泄ケアの課題とアプローチ −WOCNの立場から−(P204)
  • 近石 昌子
  • J-STAGE
特集 排泄ケアへのアプローチと課題 −セラピストの立場から−(P207)
  • 知脇 希
  • J-STAGE
特集 排泄ケアの課題とアプローチ −地域実践者の立場から−(P211)
  • 榊原 千秋
  • J-STAGE

連載

連載 災害対策とリハ工学 第5回 在宅人工呼吸器等使用者の災害対策について(P215)
  • 木村 香織
  • J-STAGE
連載 災害対策とリハ工学 第5回 新型コロナウイルスへの対応 第6回 熱海市土石流災害 静岡JRAT支援に参加して(P219)
  • 五十嵐 有紀子
  • J-STAGE
報告 第58回日本リハビリテーション医学会学術総会(P223)
  • 五十嵐 有紀子 聖稜リハビリテーション病院
  • 報告
報告 書評・芸術評 オススメ本案内コーナー(P225)
  • 繁成 剛 長野大学 社会福祉学部
  • 報告
J-stageリハビリテーション・エンジニアリング誌