協会誌最新号Vol.37/ No.3 (通巻127号)
特集「教育とVRテクノロジーの発展について」

教育とVRテクノロジーの発展について

表紙データ(PDFファイル)

「教育と VR テクノロジーの発展について」 有久 勝彦
「VRの支援方法は教育的に使用されるものからリハビリテーションの医療に直接関わるものまで多岐にわたります。VR テクノロジーについての最新の知見、支援方法の開発、活用方法についてご紹介いただいており、SDGsにおける新たな日常にリハビリテーションを応用させる可能性を高めてくれるものになると思います。」

「アイトラッキング技術と VR 技術の出会いから、リハビリテーションは新しいステージへと進化していく。」 トビー・テクノロジー株式会社
「今、VR(Virtual Reality)リハビリが注目されている。これは、ゴーグル型の HMD(Head Mount Display)にソフトウェアで作成した画像を映し出し、それを見ながらリハビリテーションを進めていくという装置だ。この HMD にアイトラッキング(視線追跡を行うシステム)を組み込むことによって、リハビリ中の患者がどこに注意を向けているかがわかるようになる。リハビリテーションの効果を確認しながら、プログラムを改善することもでき、すでに高い成果を上げている事例も報告されている。ここでは、アイトラッキング +VRリハビリをより効果的に効率的に運用するための一助として、アイトラッキング技術と VR 技術の特性及び両者の組み合わせによって生まれているイノベーションについても解説していく。」

「VR 技術を用いたリハビリテーション医療の工学的理論背景」 村川 雄一朗、原 正彦
「大阪大学における産学連携活動を通して仮想現実(VR)技術を応用したリハビリテーション用医療機器「mediVRカグラ」を開発し 2019 年 3月より一般販売を開始した。本機器は座位トレーニングで安全にリハビリテーションが出来る一方で、その独自性のある高い改善効果に期待が集まっている。機器発売当初はその効果に懐疑的な意見も多く認められたが、近年ではエビデンスの蓄積や症例毎の劇的な改善の実体験も相まってその改善効果に対する認識がかなり浸透してきたと感じている。」

「バーチャルリアリティを用いた遠隔教育について」 並木 重宏
「住んでいる地域や家庭の経済状況、あるいは障害の有無によらず、すべての人へ教育へのアクセスを保障する観点から、遠隔教育(Distance-learning)の重要性が高まっている。これまでも、無料のオンライン講義として、世界中の多くの大学で提供されている大規模公開オンライン講座(Massive Open Online Course, MOOC)ではインタラクティブなフォーラムが提供され、学びに関するコミュニティが形成されている。2020年からの COVID-19 への感染対策によって、対面のコミュニケーションが制限され、遠隔で科学を学んだり、研究するための新たなアプローチの必要性はさらに高まっている。ここでは 3 つのアプローチ、特にバーチャルラボに関する最近の話題を紹介する。」

「理学療法臨床実践における VR 活用」 金指 佳希
「近年、VR業界は発展し、様々な業界に進出しており、リハビリテーションにも活用されている。リハビリテーションに VR を取り入れる試みは、基礎研究段階ものも多くあるが、商品化されているものも徐々に増えてきている。リハビリテーションに従事する我々も最新のテクノロジーや技術をリハビリテーションに取り入れ、患者に最適な治療方法を提案する必要がある。今回、注目を集めているVRを使用したリハビリテーションを実践し、その効果や患者の反応などを紹介する。」

「重度の障害児者×デジタル」 加藤 さくら
「現実世界での身体的制約が多い重症心身障害児の娘をもつ母として、「愛娘が障害を超えてもっと楽しめるものがほしい!」とスタートさせたのがデジリハである。デジリハとは、デジタルアートとセンサーを活用し、子どもたちが遊んでいるうちにリハビリになっていることを目指し開発しているツールである。デジリハはもともと子ども向けとして開発を始めたためVR等はまだ積極的に取り入れていないが、デジタルを活用したツールということで、XRの一種といえるのではないか。そこで、その強みや乗り越えるべき課題を織り交ぜながらご紹介したい。」

「地域の方々と学んだ!当事者目線のVR認知症体験会」 斉藤 健一
「ある日、新聞紙面で見つけたのが『VRの技術を活用し、認知症の中核症状を一人称で体験』という、株式会社シルバーウッドの提供する『認知症をもつ本人の視点をVRで体験できるプログラムを地域の研修会などで受けられる』という記事であった。3 年前と今月の二度、同社の「VR認知症体験会プログラム」を活用し地域の方々と研修会を行った。今回はこの研修会でどのような相互理解が深まったかについて紹介したい。」

「DXによりリハビリテーションはどう変わるのか」 奥山 航平、川上 途行、桑原 渉、金子 文成
「情報通信技術の著しい発展に伴い、身の回りの様々なモノがデジタル化され、我々の生活様式にも大きな変化がもたらされている。最近では「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation: DX)」という用語が多方面で取り上げられており、注目されている。本稿ではリハビリテーション医療の現場におけるDX について、いくつかの新たな取り組みを紹介しつつ、今後リハビリテーションがどのように変革し得るのかを考える。」

特集

特集にあたって 「教育とVRテクノロジーの発展について」(P115)
  • 有久 勝彦
  • J-STAGE
特集 アイトラッキング技術とVR技術の出会いから、リハビリテーションは新しいステージへと進化していく。(P116)
  • トビー・テクノロジー株式会社
  • J-STAGE
特集 VR技術を用いたリハビリテーション医療の工学的理論背景(P122)
  • 村川 雄一朗、原 正彦
  • J-STAGE
特集 バーチャルリアリティを用いた遠隔教育について(P127)
  • 並木 重宏
  • J-STAGE
特集 理学療法臨床実践におけるVR活用(P133)
  • 金指 佳希
  • J-STAGE
特集 重度の障害児者×デジタル(P137)
  • 加藤 さくら
  • J-STAGE
特集 地域の方々と学んだ!当事者目線のVR認知症体験会(P140)
  • 斉藤 健一
  • J-STAGE
特集 DXによりリハビリテーションはどう変わるのか(P142)
  • 奥山 航平、川上 途行、桑原 渉、金子 文成
  • J-STAGE

研究報告

研究報告 公共空間での電動車椅子の受容(P146)
  • 丸岡 稔典、宮野 秀樹、鴨治 慎吾
  • J-STAGE
報告 キッズフェスタ2022に参加して(P154)
  • 繁成 剛
  • 報告
報告 キッズフェスタ気になる出展(P156)
  • 河合 俊宏
  • 報告
報告 バリアフリー2022のブース展示報告(P157)
  • 剣持 悟
  • 報告
報告 第9回合同シンポジウム 障害当事者とコロナ禍を考える 感想(P158)
  • 野崎 展史
  • 報告
報告 書評・芸術評 オススメ本案内コーナー(P159)
  • 川村 慶
  • 報告
J-stageリハビリテーション・エンジニアリング誌