協会誌最新号Vol.37/ No.4 (通巻128号)
特集「生活を支えるスマホ・タブレット型端末 によるアプリ・IoT」

生活を支えるスマホ・タブレット型端末 によるアプリ・IoT

表紙データ(PDFファイル)

特集にあたって 「生活を支えるスマホ・タブレット型端末によるアプリ・IoT」 廣田 祐樹
「機器の活用における諸問題として、機器に不慣れな支援者・高齢の患者・家族への支援、不具合への継続的な対応、試用機会が少なさ、制度が利用できない等の対策はまだ見えないままと思いますが、既に始められている支援者・当事者・ご家 族様の工夫、支援の失敗や成功事例を持ち寄って…、今後の ICT 活用支援の道標とさせて頂ければと考えております。」

「IT機器による障害者支援 関連する法制度肢体不自由を中心にした支援の歴史」 飯塚 潤一
「まさにパーソナル機器を使ったネット社会が実現しようとしている。その一方、身体障害などでそれらの情報にアクセスできないことが、新たな情報格差を生じさせ、 あらゆるシーンでの QOL を大きく低下させかねない。 IT 機器とネット社会の抱える潜在的なリスクを当事者・関係者だけでなく機器開発者が常に意識しながら、いつでも誰でも独力で容易に欲しい情報にアクセスできる情報社会の実現に向けて努力することが、 ますます求められていくと考える。」

「バリアフリーマップ「WeeLog!(ウィーログ)」アプリを活用した誰一人取り残さない街づくりの活用」 織田 友理子
「どんな人でも一人では生きていけず、社会は助け助けられ、支え支えられることで成り立っているものである。そして、どんな時も、居場所があり、安心することができ、自分の力を発揮し、将来に希望が持てる。そのことこそ価値があるのではないか。関係性はランダムに柔軟に、その時々によって変わってくるものである。長い人生において、常に状況が固定されることなどありえないのだ。固定せずそれぞれが今いる場所で安心して生きていけるように、これからも「誰一人取り残さない社会」をつくるために活動を続けていきたい。」

「スマートフォンアクセシビリティ機能を活用した視覚障害者の生活を支える支援」 小山 奈美
「ICTが進化し、ほとんどの人がスマートフォンを使用している現代では、画面読み上げ機能を知り、その基本操作を理解していれば、視覚障害者が困って助けを求めた時に対応ができるものと考える。…そこで、視覚障害者のスマートフォン支援者の輪を広げるために、まずは取り掛かりとして社会福祉協議会を中心に、地域の支援者を対象とした講習会を提案している。…スマートフォン自体は汎用性のあるものの画面読み上げ機能については特殊な操作を必要とする。そして、それは多くの人にとっては使いづらいものだろう。だからこそ、少しでも興味を持っていただき、支援の輪が広がることが望まれる。」

「視覚障害・暮らしの中の活用法」 品川 博之
「…これまでは専用の機器や手助けを必要としていた特別なことを、スマートフォンは普通のこととしてこなしてくれている。目が見えても見えなくても、一般流通しているスマートフォン、同じアプリを使えるということは、バリアが取り払われているということである。操作に困れば同じ端末を使っている人にアシストしてもらうこともできる。大げさに聞こえるかもしれないが、障害のある人もない人も共通の製品やサービスを使えるということは、同じ価値観を共有できる、人はだれもが特別でなく当たり前の存在であると感じさせてくれるような気がしている。…まだまだ使えないアプリやサービスは存在するが、ユーザの数とフィードバックの力で改善されることを願っている。」

「障害者入所支援施設におけるデジタル機器導入の取り組みについて」 田中 健介
「…デジタル機器はその機能により、職員をサポートし、業務の効率化を図ることができる。それにより新たに生まれた時間は、利用者支援の質的及び量的向上のために有効活用していくことができる。またこれまで収集することが難しかったデータを活用することは、睡眠の可視化や身体状況の把握に繋がり、病気の早期対応や予防、日中の活動量と睡眠時間の関係性を探ることができるなど、新しい発見と創造価値を生みだす可能性があると考える。当園での取り組みはまだまだ発展途上であるが、これからデジタル機器の導入を考える施設のモデルとなれるよう、今後もブラッシュアップし、さらなる向上を目指していきたい。」

「デジタル世代のICT活用サポート 趣味・余暇活動」 田中 栄一
「筋力低下で様々な活動が達成できない患者らにとって、ICT 社会へのシフトは、身体的制約からの開放をもたらす大きな出来事となった…今後も、ICT 社会が、重度障害者の活動を広げていくのは疑いのないことであるが、一方で(アナログからデジタル化で、福祉機器から一般品へのシフトで)新たな課題も見えてきた。利用者・家族の孤立化を防ぐためにも、セーフティーネット構築が今後の鍵である。」

「障害のある方の生活を豊かにするためのICT・IoTを活用した支援のあり方」 小林 大作 太田 智之
「…テクノロジーの発展は、今まで諦めていた活動に取り組めるようになったり、活動のあり方そのものを変えたりする可能性がある。…固定観念にとらわれることなく、テクノロジーの発展による活動の変容に対して、リハビリテーション専門職をはじめとする支援者が如何に対応できるかが求められている。  テクノロジーを活用し、自身の活動や生活を再構築する経験は、その人を変えるきっかけとなる。障害のある方、家族、支援者を巻き込みながら、“その人 がその人らしく”、“子どもが子どもらしく”、やりたい活動に取り組めるようにサポートできる支援体制の構築が重要である。」

特集

特集にあたって 「生活を支えるスマホ・タブレット型端末によるアプリ・IoT」(P163)
  • 廣田 祐樹
  • J-STAGE
特集 IT機器による障害者支援 ー関連する法制度および肢体不自由を中心にした支援の歴史ー(P164)
  • 飯塚 潤一
  • J-STAGE
特集 バリアフリーマップ「WheeLog!(ウィーログ)」アプリを活用した 誰一人取り残さない街づくりの活動(P168)
  • 織田 友理子
  • J-STAGE
特集 スマートフォンアクセシビリティ機能を活用した視覚障害者の生活を支える支援(P174)
  • 小山 奈美
  • J-STAGE
特集 事例 視覚障害・暮らしの中の活用法(P178)
  • 品川 博之
  • J-STAGE
特集 障害者入所支援施設におけるデジタル機器導入の取り組みについて (P181)
  • 田中 健介
  • J-STAGE
特集 デジタル世代のICT活用サポート ー趣味・余暇活動ー(P185)
  • 田中 栄一
  • J-STAGE
特集 障害のある方の生活を豊かにするためのICT・IoTを活用した支援のあり方(P191)
  • 小林 大作、 太田 智之
  • J-STAGE

研究論文

研究論文 電動昇降式フットサポートの利用はフットサポート介助の負担軽減となるか(P197)
  • 出口 弦舞、 牛木 彩子、 長 志保
  • J-STAGE

連載

連載 車椅子の歴史 第十五回 介助用車椅子の歴史(P205)
  • 桂 律也
  • J-STAGE
報告 第2回リハ工ミライ・アッセンブリーに参加して(P209)
  • 山本 修二郎
  • 報告
報告 第36回リハ工学カンファレンス(P212)
  • 橘 祐貴
  • 報告
報告 第28回日本義肢装具士協会 学術大会 参加報告(P213)
  • 笹川 友彦
  • 報告
報告 書評・芸術評 オススメ本案内コーナー(P214)
  • 光野 有次
  • 報告
J-stageリハビリテーション・エンジニアリング誌